
解剖学的に見ると、魚類の体は水の特徴(空気に比べて、粘性が高い、溶存酸素が少ない、光を吸収し透過し難いなど)に適応したものだと言える。
体ごく一般的な魚類の体型は、水の抵抗を受けにくい流線型である。活発に泳ぎ回る魚はこの体型が多い。
体は頭部、胴部、尾部の3 つに分けられる。頭部に含まれるものは、眼から上あごの先端部までの吻部、えら蓋、頬部(眼から前鰓蓋骨まで)および下あごである。頭には長いひげや棘を持つものもいる。鼻孔には様々な形や深さのものがあるが、多くの場合には、前鼻孔と後鼻孔とが皮下で連結したU字型の管になっており、鼻孔と口腔とは繋がらない。吻の前部にある前鼻孔から入った水は、そのまま後部にある後鼻孔から流出するようになっている。
胴部は頭部以降から肛門の位置までで、外見上は臀鰭の前までである。消化器官は全てここまでに含まれる。
尾部は肛門以降、尾びれまでである。魚類は、背面の筋肉が胴部から尾部へと連続的に発達しているので、外見上は尾の区別がはっきりしない。つまり、胴部から尾部をまとめて運動に使用しているとも言える。魚類では尾部の比率は比較的高く、一般の魚類でも3 割以上、ウナギ目の魚などは7 割以上が尾である。
鰓(えら)魚は水中の少ない溶存酸素を利用するために、鰓という器官を発達させている。硬骨魚類では、鰓は頭部の後方にある1対の鰓蓋骨(さいがいこつ、いわゆるえらぶた)の内側にあり、4対の鰓弓(さいきゅう)という弓状の骨に支えられて存在する。鰓弓からは一次鰓弁が何本も伸び、さらに一次鰓弁上には表面積を拡げるための二次鰓弁が多数存在している。鰓には血管が通っており、外界(海水、淡水)と直接ガス交換を行う。そのため鰓は赤く見える。鰓はガス交換の他にも、塩類細胞によるイオンの排出・取り込みやアンモニアの排泄を行っている。
鰭(ひれ) 魚のひれ(カクレクマノミ)鰭(魚へんに耆)は魚が泳ぐのに欠かせない手足のようなものであり、ときには地上を這ったり、空中を飛んだりするのにも使われる。鰭は体につく位置により次のように分類される。
胸鰭(むなびれ) - 頭の後方、体の側面に位置する一対の鰭。
背鰭(せびれ) - 背側にある鰭。種によって数が異なる。
腹鰭(はらびれ) - 腹側の肛門より頭側にある一対の鰭。
臀鰭(しりびれ) - 腹側の肛門より尾側にある鰭。
尾鰭(おびれ) - 体の最も後方にある鰭。
脂鰭(あぶらびれ) - サケなどに見られる、背鰭の後方にある1 つの小さな鰭。
小離鰭(しょうりき) - サバやマグロなどの尾部に見られる、多数の小さな鰭。
頭鰭(とうき) - オニイトマキエイの頭部にある1 対の角のような鰭。
胸鰭と腹鰭は左右1 対あり、これらを対鰭(ついき)、それ以外を不対鰭(ふついき)と呼ぶ。また背鰭の数は1 基、2 基、3 基と数え、前から順に第1 背鰭、第2 背鰭、第3 背鰭と呼ぶ。
鰭の形態は、軟骨魚類、肉鰭類、条鰭類で大きく異なる。サメ・エイなど軟骨魚類では、鰭は厚い皮膚で覆われ、中は輻射軟骨で支えられる。硬骨魚類のようにあまり自由に動かすことはできず、後退などの動作ができない。サメのものは鱶鰭(ふかひれ)と呼ばれ、高級食材として名高い。
シーラカンス・ハイギョなど肉鰭類では、鰭の基部が筋肉で覆われる。一部の肉鰭類の胸鰭や腹鰭は陸上を這う脚となり、四肢動物へと進化していったと考えられている。
条鰭類では鰭は膜状の構造物であり、体の正中線、あるいはその左右に対になって張り出す。膜を支えるように鰭には多数の筋(鰭条)が入っていて、基部では骨と筋肉が接続しているのが普通である。鰭条には軟条(なんじょう)と棘条(きょくじょう)の2 種類があり、棘条には毒腺を備えているものもある。
鰭が遊泳以外の目的に進化している場合もある。また進化の過程で、一部の鰭が退化していることも多い。
トビウオの仲間は、大きな胸鰭を持ち、空中を滑空することができる。
ハゼの仲間では腹鰭が吸盤に変化して、岩などにくっつくのに都合が良い。
コバンザメでは第一背鰭が吸盤に変化し、大型の魚にくっついて移動する習性を持っている。
アンコウの仲間は、背鰭が釣竿のような形状に変化し、先端はルアー(擬似餌)になっている。
チョウチンアンコウの仲間はルアーの部分に発光器を備える。
ミノカサゴやゴンズイなどは、棘条に毒腺を発達させて身を守っている。
ホウボウは腹鰭が脚のようになっており、海底を這って歩くのに適している。
マンボウは尾鰭と臀鰭がつながって特殊な形態をなしている。
遊泳力の強いマグロやカジキなどは2 基の背鰭を持ち、前方にある第1 背鰭は溝に折りたたむことができる。各々の鰭は極限まで水の抵抗を減らすように設計され、高速遊泳に特化している。